40代50代のハイクラス転職における面接は、想像とかなり違います。
30代の幹部職への面接でも、言えることです。
ネット上の一般的な情報は若者向けですので、40代50代ハイクラス転職の面接とはかけ離れている場合が多いと思います。
綿密な事前準備が必要です。
様々なことを、想定して置かなければいけません。
一つづつ解説していきます。
筆者は50代で、年収1000万円の転職に2回成功しています。
40代でも、2回の転職経験があります。
(追記です:この記事を執筆後に、50代で3回目の転職に成功しました)
自身のこれまでの転職活動の中で、サイト上に「中高年向けの情報」、
「実際に登録して活用した人の情報」、「転職者本人の書いたレビューや口コミ」が余りにも少ないと感じました。
そんな経験を持つ筆者が、実体験に基づき詳しく解説いたします。
目次
40代50代のハイクラス転職面接の事前準備
40代50代のハイクラス転職面接では、事前の企業研究のレベルの高さと課題仮説構築が必要
書類選考が通過したら、猛勉強が始まります。
幹部として入るからには、明るくて、礼儀正しくて、頭が良さそうだけでは足りません。
- 企業研究は、ネットを使って知り得る限りしらみつぶしに把握します。
- 社名はもちろん、経営者や幹部の名前でググります。
- 彼らの前歴もかなり解ります。
- 資本所有関係も調べます。
- その業界の全体像を把握します。
- 業界の利益構造やサプライチェーンも把握します。
- 競合についても把握します。
- その企業の本社、事業所、営業所、店舗、工場などもできる限り視察します。
- 知り得る情報をたよりに、企業の課題は何かの仮説を構築します。
- 事前の企業研究と課題仮説構築が面接で役に立ちます。
これを面接のたびに繰り返すと、鍛えられます。
そして、そういう思考回路を磨くことになりますので、実際の仕事でも役に立ちます。
若い世代とは異なるハイクラス転職においての企業研究についてはこちらの記事で解説しています。
企業研究のやり方|ハイクラス転職では高度な企業研究が求められる
ハイクラス転職において、40代50代は事前に面接の練習が不可欠
筆者が必ず心がけたのが、自宅での事前練習。
これが非常に重要です。
家族が家に誰もいない時間を狙ってください。
- まず、「これまでの経歴」に関して、5回ほど喋ってみます。
- 職務経歴書の「職務概要」を悩みながら書いていますので、ある程度喋れるはずです。
- 次に、何分間で「これまでの経歴」を話しているのか、3回計ってみます。
- 3回計ると、「このペースで話すと○分かかるな」と勘所を掴むことになります。
様々なサイト上では「自己紹介は5分」などと書かれていますが、50代の面接ではケースバイケースです。
あなたが話し始めた後の面接官の様子で、5分パターンで一旦切るか、長めに話すか調整することになります。
自宅練習をしておくことで、そのテクニックが身につきます。
- 次に、PCのカメラで画像がある状態で、自分の表情を見ながら練習をしてみます。
- さらに、「面接で想定される質問に対する回答」や「こちらからの質問」も事前に準備し、声に出して練習しておきます。
40代50代はここまで、事前準備をするべきです。
筆者は40代からの4回の転職で、何度も面接してきましたので、この方法を確立しました。
もちろん、入社の意志がある企業の面接に関しての準備です。
「入社するつもりはないけど、書類選考通過したので、せっかくなので面接に行く」の場合はここまで準備しません。
転職面接の日程調整
面接の日程調整は、エージェントを通して行います。
候補日を3つ程提示され、その中から返答するケースが大半。
日常のメールでのアポイントメントと同様です。
エージェントのヘッドハンターではなく、アポイントメントについては、エージェントのアシスタントがだいこうするケースもよくあります。
面接当日用の履歴書と職務経歴書を準備
念の為、筆者はプリントアウトしたものを封筒に入れて面接に望みます。
しかし多くの場合、企業側で印刷したものを用意してあります。
- あなたの分は印刷してありません。
- 自分は、自分の書類は見ない状態で話すことになります。
- 事前に自宅で何度も練習していますので、問題ありません。
面接時に履歴書と職務経歴書を手渡すことを事前に依頼される案件もありました。
事前に転職エージェントから、電子データで渡っていりはずなのに、なんて非効率と思いました。
案の定、古い感じの会社で、もし受かっても「入った後すぐやめざるを得ない予感」の会社でした。
履歴書、職務経歴書についてはこちらの記事で解説しています。
40代50代の転職活動|履歴書作成注意点!|ここがポイントです
40代50代|履歴書写真の撮影に要注意!転職活動初期ですぐ必要
40代50代|職務経歴書「職務要約」「職務経歴」|転職多い場合の書き方
自身の実績がわかる資料|40代50代は念の為当日用に準備
筆者は、「これまでの職務においての実績や職務内容やスキルがわかるような資料」を持参し、活用したこともありました。
たとえば、以下のようなものを合計100ページくらい。
- 仮説から課題解決の流れが見えるパワポプレゼン資料
- エクセルのKPI資料
- 業績推移含む様々なグラフ
全て守秘義務には配慮した修正は必要です。
これによりあなたのこれまでの実績を、言葉以外でも補えます。
「このような資料を持参しておりますが」というと、企業側は見たいに決まっています。
エクセルなどのスキルもわかりやすくなると思います。
特に50代のハイクラス人材だと、マネジメントのみの人と、手を動かすことも可能な人に分かれると思います。
手を動かすことも可能な人は、アピール材料を持参しておくと良いと思います。
ハイクラス転職の面接における40代50代の心構え
特に40代50代は「面接」でも「面談」でもマナーは大切
これまで長い間、社会人経験を積んできた中高年であっても、面接のマナーの確認は必要です。
更に、「40代50代だからこそ」気にすべきなのは、
- あなたのほうが面接官よりも年上となる可能性が高い
- 普通にしていても偉そうに見られる可能性が高い
からです。
気がつくと、あなたは歳上なのです。
「面談」にあたっても心がけが必要です。ちなみに、
- エージェントのコンサルタントとお会いするのを「面談」
- 企業の方とお会いするときは「面接」
と言います。
転職エージェントのコンサルタントやヘッドハンターとお会いする「面談」においても「面接」と同様の準備と心がけが必要です。
頼りになる存在ではありますが、あなたの味方ではありません。
「企業の求人案件」と「あなたが」に親和性があるかを見極めるために面談するのが使命です。
親和性がある、適合していると判断した後は、「あなたは企業に売り込んでお金になる人材」です。
転職エージェントのコンサルタントやヘッドハンターは、あなたの味方となります。
面談の段階では、企業の面接と同様の準備が必要になります。
面接は慣れるまで、失敗するもの
あまり乗り気でない企業の面接にも行きましょう
その機会を利用し練習する。
場数に慣れて、緊張しないようにしましょう。
ハイクラス転職では40代50代は面接官を想像しておく
面接担当者は、人事担当者から始まることが普通ですが、
40代50代の面接は、そうとも限りません。
筆者の場合は、
- 経営層から始まるケース
- 最初から何人もの経営幹部に取り囲まれるケース
- 社長面接からスタート
などのケースも経験しております。
むしろ人事担当者から始まるケースは落選率が高かった感じです。
ハイクラス人材の転職活動の面接は、こちらがメイン。
「企業の経営層が、この候補者は重要ビジネスポジションを任せることをができるかを見抜く場」
人事担当者から始まる案件は、若手採用が前提で、「この50代の人も面白そうだから会っておくか」だったような気がします。
ハイクラス転職で40代50代が面接成功するには服装の準備も念入りに
40代50代は、あなたの「見た目」を見直しましょう
第一印象が大切
ポイント
- 第一印象でその人のイメージは9割決まる
- 第一印象は6~7秒で決まる
といわれています。
自分に最低限の投資を
自分を客観視するのは大変です。
自分と近い年代の同僚を思い浮かべてください。
自分が面接官だと想定し、初対面の彼が面接にやってきたとします。
失礼な話ですが、彼の見かけには、投資が必要ですよね。
事業を改善しようと思えば、追加投資しますよね。
- ITなら、何らかのアプリケーションやsaasを追加する
- 工場なら、何らかの設備投資をする
- 店舗なら内装を変更する
転職のためには、「人の見かけ」に投資が必要です。
カジュアル化が進んだとはいえ、面接はスーツです。
そのスーツが問題です。
多くの人に当てはまると思います。
スーツの形が古い!
ジャケット肩幅や着丈、パンツの幅と長さが変化しています。
そんなに古くないとしても、去年買ったスーツはシニア向けを選んでしまっているかも知れません。
オーダースーツが解決策です。
正直に、「転職面接用で若々しく見えるのを作りに来た」と言ってください。
そこで、シャツとネクタイと靴はどんなのがふさわしいか聞いてください。
できればカバンも。
美容院に行きましょう
もちろん床屋でも構いません。
通勤電車でおじさんたちを見回すと必要性がわかります。
40代50代ハイクラス転職の面接当日のポイント
面接会場に向かう前
筆者の場合は念の為、一時間前には近くの喫茶店へ。
夏なら、汗が完全に引くようにゆっくり待機。
トイレに行っておく。
髪型を直す。
なお、企業面接は、転職エージェントの方が同行する場合もあります。
面接は「これまでの経歴から」スタート
若者ではないので、面接の場で主役になるのは、履歴書ではありません。
職務経歴書に沿った部分です。
自身のこれまでの経歴を話すことを依頼されスタートする場合がほとんどです。
5分を目安に話し始めます。
ハイクラス人材に対して「○分以内で自己紹介してください」とわざわざいう面接官はまずいません。
相手の表情を見ながら、経歴の一部分を膨らませたりしながら、時間調整します。
相手が、熱中して聞き入っている場合は、10分になっても構いません。
時間を見ながら適度に打ち切って、後の質問に対する回答の時、膨らませても良いでしょう。
また、今回採用する人に何を求めているのか、求人の意図を理解し、
企業の興味・関心にあった話題を中心に話し「自己紹介で経歴の全部を語らなくていい」と考えましょう。
これは大切です。
企業はあなたの経歴を聞きたいわけではありません。
どういう局面でどんな課題をどんな考え方で解決してきたのかを確認したいのです。
それを踏まえた「これまでの経歴」です。
あなたが、
- どんな環境におかれているとき
- どんな課題や仕事において、
- 何を実行して
- どんな結果を出して
- その、振り返りをし
- 例えば、不足点を見出し、更に何を身につけようとしているのか
を整理しておいて、わかりやすく伝えなければいけません。
そしてそれがこの会社のこんな課題に対して再現性があるのかです。
そうすると会社側は、この人は役にたつかもしれないと考えるわけです。
事前の企業研究と課題仮説構築が役に立ちます。
つまり、企業の課題と、あなたの再現性に整合性が無いと役に立つ人にならないからです。
40代50代ハイクラス転職の面接は、転職サイトに書いてある流れでは進まない
その後の話の展開は、企業により様々です。
サイト上の情報によくある「面接で質問されること」
- 「自分の長所と短所を教えてください」
- 「志望動機を教えてください」
- 「これまでの経験やスキルを当社でどう生かしますか?」
の流れにはなりません。
- あなたを採用する意欲の強い企業ほど、それをすっ飛ばして、突っ込んだ話からはじまります。
- あなたを採用する意欲の強い企業ほど、あなたの職務経歴書を事前に読み込んであります。
それはそうですよね。
中高年を幹部として雇うのですから。
- 企業の既存社員があなたの部下になるのです。
- 今後の業績があなたのせいで左右されるのです。
- もしかしたら、面接官の将来を左右するのかも知れません。
企業側が、あなたのキャリアの中で聞きたいこと・確認したいことを質問し、対話する時間です。
この返答時に、自己紹介の時に軽くふれたアピールしたい過去のプロジェクトに話を展開させます。
企業側から質問してくれれば、その質問に対する回答として、存分にアピールしましょう。
企業側の興味・関心と合致しているのか、相手の反応を見ながり見極める、企業の興味に合わせて話すポイントを絞りましょう。
この人を採用することによって、会社が抱えている問題を解決できるのかが企業側で考えていることです。
採用する側が企業を動かしている人ならアタリマエのことです。
40代50代の幹部を採用するという本気の案件こそ、そういうことです。
従来の面接のイメージとは違うのです。
面接の「質問タイム」
面接の最後は、転職希望者から企業への質問の時間となります。
その際、どのような質問をすればよいのでしょうか。
「素直に分からないこと、聞きたいことを聞けばいいのでは」は間違えです。
あなたが聞くべきことは、あなたがその企業に入って、事業の課題を解決する上での不足している情報です。
企業は、「課題が何であるか」「こう解決する」という、「当事者意識」と「仮説構築力」を読み取ろうとします。
企業が経営層や事業責任者を採用する時、最も重視する要素です。
課題解決のためのディスカッションに発展すべきなのです。
企業に入り込む前に「課題仮説」を構築していることが必要です。
「自分で課題を見極め解決方法考え実行してくれる人」でない限り、エグゼクティブとはなりえないでしょう。
それが若い世代の採用と異なる点だと思います。
「御社の事業においては○○が課題であると思いましたが、そのためには☓☓のようなことは考えられますか。私は☓☓については」のような感じで、事前に調査準備しておくべきです。
事業を推進してくれそうな人しか採用したくありませんよね。
「40代50代の転職」は、求職者側の「転職」というイメージとは違い、「企業の課題解決請負人探し」なのです。
「質問はありますか」の前の段階で、既にそのような話が十分になされていれば、「質問はもうありません」でも良いと思います。
企業側から業績改善に向けてのプレゼンを依頼されることもあり
筆者の経験では、面接時に、企業側から業績改善に向けてのプレゼンを求められることもありました。
事前にエージェント経由でそういう連絡がありました。
面接時は、8人ほどの経営幹部を前に、プレゼンをしました。
転職面接終了後
面接後、ヘッドハンターに感想を電話で伝えます
ヘッドハンターは必ず、「面接が終わったら、電話で感想を教えてください」とあなたに依頼します。
あなたは、ヘッドハンターと道端で電話することになります。
ヘッドハンターは、仲介者として、面接を経て双方がどう感じたかを知っておく必要があります。
ヘッドハンターは面接後、企業からも同様に感想を確認しています。
企業側は求職者側が本気なのか知りたいのも当然です。
逆に、あなたはヘッドハンターを通じて、入社への意向の強さを伝えることが出来るわけです。
合否の連絡
エージェント経由で連絡が来ます。
あっけなく結果が出るイメージです。
内定
内定通知書と労働条件の確認がエージェント経由で来ます。
メールできますが、後日郵送でも来ます。
毎日、郵便受けを除くことになります。
出社開始日の調整も、エージェントを通して行います
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